発行元 山本周五郎 .
エディションノート
この作品は、激動の幕末を時代背景にした長編小説である。
著者の山本周五郎は、この作品の執筆の意図をつぎのように述べている。
「現代の青少年が、人口過多、オートメーション化による就職難、人間的な尊厳の喪失、原子戦などの難問に直面しているように、幕末、明治維新の大変革時代の青少年たちも、同じように不安や疑惑や絶望に当面したことと思う。
私はこの小説で主役を演ずる昌平黌の学生たちに託して、この『激しい変革』に当面しての不安やおびえや絶望にもめげず、自分の信念を守って、こつこつと文明を開拓してゆく青年たちのことを書きたいと思います。」
この作品は、山本周五郎がその執筆の意図を思う存分に書き表した秀作といえるだろう。